Part.1資格が必要な場所
プレイオス大陸を覆った戦争の影響は、人々により強固な結束が必要だということを認識させた。
その後、まるで示し合わせたかのように、人々はエルアノール地域の中心に集うようになった。
そこで交流を行ううちに、いつしか定住する地となっていた。
その結果、ギルド連合の人々が集まった村はシルバリア帝国の都に次ぐ
巨大な都となった。
だが、あまりにも人が集まり過ぎたためか、事件や事故が多発するようになった。
ギルド連合はこの事態を重く受け止め、ギルド連合都市の秩序を乱す者は、
ギルド連合そのものに害成す存在だと考え、人の移動を大きく制限するようになった。
都市の一部のみを開放し、それ以外の全てに制限をかけて出入りを禁止したのだ。
その結果、都市の内部は平穏な時間を維持することに成功した。
しかし、都市の外にいる者にとっては、関わることの難しい場所になってしまった。
エスニルは決して表舞台に出てくることのない、“裏の都市”と呼ばれるようになった。
Part.2とても珍しい名前
長い間続いた戦争“混沌の空(Chaostic Sky)”が終わり、プレイオス大陸に平和が訪れた。
シルバリア王国の女王シエナは、国民達から熱狂的な支持を集め、皇帝への即位を求められていた。
そんな中、女王は自分と共に大陸のために戦って来たギルド連合に感謝の意を伝え、
様々な褒美を与えた。
その一つとして、ギルド連合都市には“エスニル”という名前が与えられた。
女王の話によると、かつて魔王が現れた時に戦った勇者の名前だったようだ。
ギルド連合は授かった都市の名前を光栄に思い、その名前を掲げていたが、
やがて、その名前が使われることはなくなった。
賢者の塔出身の魔法使い達が歴史を研究する中で、“エスニル”という名前が、
古代神を否定した「歪んだ者」であることが判明したのだ。
ギルド連合はシルバリア帝国の初代皇帝が授かった名前を否定することはできず、
公式的な場でのみ使用することとし、普段は「ギルド連合都市」とだけ呼ぶことにした。
だが、人々はまだ知らなかった。「歪んだ者」“エスニル”――
その意志を継ぐ者が、すでに都市の内部に潜んでいるということを…
Part.1過去に囚われた王国
大陸の歴史を紐解けば、これまで多くの勢力や国が消えていったことがわかるだろう。
モス王国もその消えた国の一つだ。現在ではプレイオス大陸や、イーストランドの者達を
苦しめた悪名高い王国でしかないが、かつてはプレイオス大陸の中でも
特に繁栄を極めた国だった。彼らの膨れ上がった欲望は暴走し、大陸を掌握すべく
”混沌の空”へと参戦したが、その戦争で大敗したことにより、プレイオス大陸を後にすることとなった。
そして、彼らは新たな大陸へと足を運んだ。
プレイオス大陸よりも凄惨な戦争の歴史を持つ大陸、イーストランドへと。
イーストランドもまた彼らに好意的ではなかったが、その後も長い間、
“モス王国”という国が滅ぶことはなかった。
プレイオス大陸での繁栄の記憶…その“過去の栄光”に対する執着が、
彼らを長い間生かし続けたのだ。
Part.2モス王国の最後の地
モス王国の暴走はイーストランドでも続いた。
今度はデイモス教団の引き起こした“暗黒戦争”に参加し、大陸の覇権を握ろうとしたが、
またも敗北を喫した。この敗北によりモス王国は、ようやく暴走を止めた。
時は流れ、モス王国のボイド王とノックス王子の下に、赤い髪の兄妹が現れた。
ヴァンとマーラ。彼らは静まっていたモス王国の欲望を再び呼び覚ました。
彼らによって、モス王国はまたも“過去の栄光”によって暴走し始めた。
しかし、シルバリア帝国が主体となって結成されたエトワール連合軍により、それも阻止された。
連合軍による討伐も始まった結果、モス王国はほとんどの領土を失い
破滅の地、モロスへと逃げ込んだ。
過去、たった一人の少女によって、数百数千の兵力が死に導かれたあの場所へと。
Part.1暗黒戦争の犠牲となった村の痕跡
長引く暗黒戦争により、モロスまで追われた人達は偶然にも
古代時代に作られた怪しい空間を見つけた。
彼らはここで、戦争が終わるまで隠れ過ごすことに決めた。
食料を集め、武器を用意し、ただひたすらに戦争の終結を願っていた。
当面を過ごす準備が終わると、最後に魔力を吹き込んで結界を作り、
この空間をシェルターに変えようとした。そのために、ジュード王国の偉大なる魔法使い
“イクシオン”の力を借りることになったのだが…
Part.2忌み嫌われた地
いつからか人々はモロスを「破滅の地」と呼ぶようになっていた。
モス王国軍の駐屯兵を除けば、そこに近づく者は誰一人としていなかった。
とある日、モス王国を操る赤い髪の兄妹がモロスに訪れた。
そして、彼らもまた怪しい空間を見つけてしまった。
門が開かれた瞬間、謎のオーラが溢れだし、そのオーラに魅了された
モンスター達が群がって来たのだ。
そうして、再びモロスに喧騒が舞い戻った。
Part.1夢見る森の村
「破滅の地」と呼ばれるモロスには、古い森が一つあった。
モス王国では、この森には不吉な気配が漂っているとして、立ち入りを制限した。
しかし、すでにこの森に住んでいる村人達にとって、それは森の守護神のものであり、
森の守護神が不敬な者の立ち入りを制限しているのだと信じられていた。
かつて、悪事を働こうとした者が森で迷い、目的を果たせないまま
逃げ帰ったことが何度かあったからだ。
村人は、森の守護神の庇護下で美しい夢を見て眠ると
森の神気により、全ての心配事が取り除かれると信じられていた。
そしてこの森と村を「夢見る森」、「夢見るオネイロ」と呼び、
幸せに暮らしていた。
Part.2謎の呪い
モス王国の国境地帯であるモロスを見ていたエトワール連合軍は、
近くの森で起こった巨大な爆発を目撃した。
その確認のため、その森に向かった。そこでモス王国軍の痕跡と、
恐ろしい呪いに遭遇した。
美しい森の村は、激しい爆撃を受けたかのように破壊されており、
その中で人の姿をした石像が多数転がっていた。
辺りを見渡せば、人だけでなく、全ての生命が石になっているかのようだった。
探索する内に、不吉な気配を感じた連合軍は、すぐさま森を抜け出し…
そして、気づいた。森に、自分達の生気が吸われていたということを。
やがて、森は幸せな夢を見始めた。
かつて付けられた名前の通りに、永遠に覚めることのない夢を…