ダークチェイサー:闇の支配者

「カリオン伯爵領、闇の手に落ちる!」…それは一瞬の出来事であった。
闇の教皇“バイス”が率いる狂信軍により、美しい空は死の雲で覆われ、
かつて軽快な音楽と人々の活気に溢れていた広場には、無残な悲鳴だけが鳴り響いた。
それでも、カリオン伯爵は最後の最後まで闇に抗った。

古より偉大な君主を排出し続けてきた剣の家系“カリオン家”の領地を守るため、
そして、最後の希望である“後継者”を守るために。


カリオン伯爵は力尽きたが、その後継者は密かに“誰か”の手によって逃げのびた。
その“誰か”の正体を知った時、バイスはこれ以上の追跡を断念せざるを得なかった。
剣神の弟子、そして銀剣龍として知られる“ウル”を深追いすることが得策ではないと考えたのだ。

カリオン家の後継者が目を覚ました場所はルーメンだった。
目覚めた後継者は己の弱さを呪い、自ら命を絶つことを試みたが…その願いが叶うことはなかった。
“誰か”…ウルが許さなかったのだ。
生きる意味を見出せず、絶望の中にいる後継者に、ウルは闇の教皇への復讐を提案する。

そして後継者は“復讐”のみを己の生きる糧とし、ただ強くなるためだけに剣をその手にする。
日々の鍛錬だけは自分を裏切らないと信じて…。

通常の方法では、人の限界を超えた者を倒すことなどできはしない。
一縷の望みをかけて剣神“ジスカド”に弟子入りを志願するも拒まれ続ける日々。
その末に後継者は極端な方法を選択する。
ギルドの依頼遂行という大義名分のもとに、最も危険な戦場へとその身を投じ始めたのだ。

闇を憎み、自らの剣で貫く…そのためだけに剣を振り続けた。
その努力が実を結び、剣の名家の後継者として誰もが認める剣術を習得した。
…それでも心は満たされることはなかった。
ただただ実直に鍛錬を続け、己の剣のみを信じ続ける日々。

しかし、残酷にも“限界”は訪れる…生きる糧を失い、絶望に満たされてゆく。

まさにその時…予期せぬ選択肢が提示された。
「これで新たな自分へと生まれ変われる…」

「生まれ変われば、限界を超えるための“答え”にたどり着けるかもしれない…」

後継者は選択する…
そして、小さく美しい村”ベロス”での、新たな生活が始まる。