Part.1
捻れた時空間の狭間
死ぬことのできない少女がいた。
決して終わりが訪れることのない「人生」は、彼女にとっての不幸だった。
だからこそ、少女は自分にそんな「人生」を与えた魔法使いへの復讐を望んだ。
奴に永遠に続く苦痛を、終わりのない恐怖を。
その魔法使いを「無限」に苦しめるための場所を探していた少女は、
いつしか“捻れた時空間の狭間”に辿りついていた。
だが…そこは、あまりにも“おぞましき”場所だった。
少女の抱える復讐心がかすむほどに。
それ故、やがて『冥王』と呼ばれる少女は、
誰もそこを訪れることのないよう、封印を施したのだった。
Part.2
アヴァロンを見つめる空間
『冥王』と呼ばれる少女は、
自らがその場所に施した封印を解こうとしていた。
それは、かつてのように誰かの「不幸」を願うためではなく
この世界を生きる者達の「幸福」を願うために。
不吉な“束縛の力”の影響が広がるアヴァロンの隅に、
少女は時空間を切り裂いて、過去に封印したあの場所への扉を繋いだ。
急造故に多少歪な繋がりとなってしまったが、
アヴァロンの呪いをはねのける場所を作るためには仕方がなかったのだ。
Part.1
間違えた選択の先に
いつからか、イーストランドの人々の中に
とある神を信仰する者達が増え始めた。
その神の名は――「デイモス」。
長引く戦争の中で、すがれるものがあれば何でも良かったのだ。
……例え、それがどのような神であろうと。
そして、とある超人の導きによって
その信仰者達は、ある場所に集いだした。
そこは「アヴァロン」。
全ての者に幸せを望まれた理想郷である。
Part.2
かつては理想郷と呼ばれた都市
美しい街並みや、鮮やかに芽吹く花々が広がる
ハウル王国の首都は、祝福を受けた地として人々に愛されていた。
あちこちで見かけられる赤いリンゴの木は都市の象徴そのものだった。
しかし…やがては「デイモス」の名の広がりと共に、
その都市の名は、人々にとって新たな象徴として記憶されるようになった。
狂信者の集う、戦争と恐怖をもたらす地として。
時が流れ、アヴァロンに関する噂がルーメンとタルタロスに広がった。
命が失われ、砂だけが溢れる死の都市の噂と、
数多く存在した狂信者が、段々と姿を消しているという噂が……。
Part.1
”罪人”が見つけた小さな空間
“罪人”は捻れた時空間で見つけた小さな空間に癒しを求めた。
これまでの自分は、何のために生きてきたのか…
今さら、考えたところでどうにもならないことだった。
だからこそ、やるべきことはただ一つ。
自らの行動に相応しき責任を果たすこと。
“罪人”はその小さな空間にとどまり、
アヴァロンに『煉獄』が生成されていくのを見届ける。
虚無に満ち、生も死も存在しないが故に
――最も“真理”に近い場所にて。
Part.2
煉獄の誕生とともに消滅する場所
“束縛”の影響は深刻だった。
精神が崩壊していく中で、堕落したデミゴッドは、自らの行動に理由を求めた。
自問自答を繰り返すうち、彼は神の力が漂うその空間にたどり着いた。
“真理”を求めて足を踏み出した瞬間、デミゴッドは理解する。
この空間から二度と出ることはできない、と。
“束縛の力”に溢れた空間は、“束縛”に囚われた自分を
決して手放すことはないのだと。
その後、生と死の境界にあった空間は
誰かの望みを果たすために、消滅の運命を待つ世界と共に動きだす。
Part.1
デイモスの名と共にやってきた世界
美しく、愛に満ちた世界があった。
とある女神がいる世界のように。
ひょっとすると、その世界よりも幸福に溢れた世界だったのかもしれない。
しかし、とある超越した存在の出現が、その世界の終焉を告げた。
愛する世界を守るために多くの者が戦ったが、世界の時は止まってしまった。
それから長い時を経て、
その世界は、時空間を超えて別の世界と繋がった。
「デイモス」という神の名と共に…。
Part.2
”罪人”が渇望する最後の場所
とある“罪人”は、ただひとり、静かに時を待っていた。
奇妙な色をする雲と不吉な月明りの交わる場所で
“捻れた者”デイモスを呼ぶ時を。
デイモスを目覚めさせるための『最後の扉』には、
その強固な封印を解除するための、特別な『鍵』が必要だった。
そのために、エトワールの運命に干渉し、
鍵の材料を集める場所を作った。
彼はその場所に特別な名を与えた。
かつて愛し、決して忘れることのない世界の名前…「アズラエル」。