アドキーナの古くからの友
太陽と大地のオーラが混じることで生まれ変わった大地、アドリカ。
強い力の持ち主以外は留まることすらできなかったが、アドキーナにより変化が起きた。
少しずつ命が芽生え、「普通ではない動物」が住むようになった。
幻獣と呼ばれる、幻影の動物達だ。
彼らの心臓は鼓動は聞こえず、呼吸も体温の暖かさもないが、確かに生きていた。
自分が認める者には全身で感情を表現し、力を与えた。
アドキーナはその中でも自分と似た立場の幻獣を気に入っていた。
彼は何もなかった大地で生まれ、最後までそこを守るという決意を持っていた。
アドキーナはいつか共にジエンディアに行くことを願い、「キリエ」という名前をプレゼントした。
そうしてキリエは幻影の大地で他の幻獣を導き、アドキーナの友として長い時間を共に過ごした。
デイモス教団によって幻影の大地が荒らされてしまった時も、
幻獣達の遺骸を集め、竜の谷に向かう時も、キリエはいつもアドキーナと一緒だった。
そんなある日、キリエの目付きが急に変わってしまった。
共に幻獣達と幻獣の墓を守っていた友、アドキーナの声ももう届かない。
キリエの鳴き叫ぶ声は滝を揺らし、幻影の大地に木霊した。