Part.1異形の人々が住む場所
かつて、大地の女神が留まった地は、大地の力に溢れていた。
時が流れ、その力は薄れていってしまったが、ある一族だけは祝福されたその地を守り、
暮らしていた。
そこで暮らす一族は、普通の人間と少しだけ異なる姿をしていた。
彼らには人間のものではない、動物の持つような耳が生えていたのだ。
一族の名は「カーリー」。その特徴のせいで、彼らは人間達から奇異の目で見られ、
時には迫害されることもあった。
彼らは身を守るため、自分たちの住む場所が外界から認識できないよう、結界を施した。
結界のおかげで、彼らは愛するこの場所でずっと平和に暮らしていけると思っていた。
しかし、その平和はあっさりと崩れ去ることとなった。
デイモス教団が、カーリー族が持つ「力」を狙い、彼らを襲い始めたのだ。
Part.2癒えない傷を持つ者達の村
長い苦境の末、カーリー族はついにデイモス教団から逃れることができた。
だが、彼らが愛していた地は破壊しつくされ、大地の力は失われてしまった。
結局、守護者メディアは絶望する一族と共に故郷を離れ、
新たな安住の地を探さなければならなくなった。
候補に挙がったのが、幻影の大地、「アドリカ」。
外界からの闇の侵入を防ぐため、足を踏み入れたものが
一番恐れるものの幻影を見せるといわれる地だった。
そこで守護者メディアは偉大なる竜、アドキーナと出会い、助けを求めた。
そして、昔と同じように結界を施し、村を建てたのだった。
今度こそ、いつまでも穏やかに暮らせるように……。
Part.1女神ガイアによって守られた地
はるか昔、魔王に立ち向かった神の一人、太陽神アグニが傷を追い、
大陸へ落ちてしまった。
その時の衝撃により地は炎に飲み込まれてしまったが、大地の女神ガイアの力により、
危うく難を免れた。
だが、熱い太陽と暖かな大地の強いオーラ同士が混ざり合い、
その地は今までとは違う形に姿を変えてしまった。
青い地の上に育つ透明な葉、闇の光が宿った木、そしてその大地に降り注ぐ黒い雨。
大地は不安定な状態だった。
女神ガイアは命の力が消えかかった大地を救いたかったが、
すっかり力を使い果たしてしまっていた。
力を蓄えるにはしばらくの間、眠りにつく必要があった。
ちょうどその頃、女神セレスのために戦っていた
プルトンドラゴンがこの地にいることを知り、女神ガイアは彼に頼み込んだ。
私が眠りについている間、この不安定な大地に命が戻るよう、見守ってほしい…と。
Part.2幻影の大地
プルトンドラゴンのアドキーナによって、地は少しずつ息を吹き返していった。
黒い雨は止み、木々は色を取り戻し、大地は色とりどりの花で鮮やかに彩られた。
そして、神秘な生物「幻獣」が暮らし始めた。
太陽と大地の力が混ざった強いオーラにも、幻獣は適応したようだった。
だが、その神秘的な土地にデイモス教団が目を付けた。
彼らは幻獣達が持っている特別な力を手に入れるため、幻獣狩りを行った。
アドキーナはあらゆる手を尽くしたが、全ての幻獣を守ることはできなかった。
多くの幻獣が姿を消し、やがて幻影の大地は外界の者を拒むようになった。
不安定なオーラを持つ者が足を踏み入れると、
幻獣や大地の植物たちはその記憶を飲み込んだ。
記憶を飲み込まれたものは、目的を失い、命が尽きるまで幻影の大地を彷徨うのだった。
こうしてデイモス教団が徐々に現れなくなり、アドキーナはアドリカを元に戻す方法を探し始めた。
たくさんの幻獣たちが穏やかに暮らしていたあの頃に。
たとえ数百年、数千年かかったとしても……。
Part.1アドキーナの住処
「そこにはいつも巨大な竜がいる」
アドリカを彷徨う旅人は口を揃えてそう言った。
彼らが言う巨大な竜―それは滝の向こうに大きく聳え立つ、大きな岩の事だった。
遠くから見るその岩は、確かに竜の姿に似ていた。
しかし、その場所には本物の竜も住んでいるのだ。
女神ガイアにアドリカを託された竜王アドキーナは、居場所を探していた。
命の力がほとんど失われた場所を選んだ彼は、長い時間をかけて、
その地を少しずつ回復させた。
まるで巨大な竜が咆哮する姿をした谷―そこは竜の谷であった。
Part.2幻獣たちが眠る場所
人間達の戦争が、幻影の大地にも影響を及ぼし始めた。
デイモス教団が国を作り、すべての命の脅威となったのだ。彼らは幻影の大地にも目を付けた。
幻獣達を守るためアドキーナは必死に戦ったが、数えきれないほどの幻獣達が
犠牲となってしまった。
デイモス教団によって荒らされた幻影の大地は、目も当てられない有様だった。
アドキーナは己の力不足を悔やみながらも、その大地を元の姿に戻すことを決心する。
アドキーナは幻獣達の遺骸を竜の谷の湖に埋葬し、
いつかまたこの地に生まれ変わって欲しいと祈った。
そして、生き残った幻獣も竜の谷に集め、弱ってしまった命の力を回復させようとした。
そんなある日、竜の谷にいる幻獣達の様子に異変が起きた。
呼びかけるアドキーナの声も、届くことはない……。
Part.1幻影の大地を守る神の木
かつて、幻影の大地、アドリカには神秘的な木が立ち並ぶ森があった。
幻獣達の生息するそこは「幻影の森」と呼ばれていた。
だが、暗黒戦争による被害が大きくなるにつれて、
幻獣達は森を離れ、生い茂る草木もその数を減らした。
しかし、その中で尚変わらずにそびえ立つ巨大な木があった。
その木は幻影の森でも極めて大きく、天を覆うほどに枝を広げていた。
その壮大で神秘的な姿から「この大樹の中には神がいる神殿がある」という噂が広がった。
しかし、噂の真偽を確かめられたものは誰もいなかった。
不思議なことに、天にも届くほどのその大樹に、誰もたどり着くことができなかったのだ。
人々は不思議なその木を「神の木、ラピア」と呼んだ。
Part.2女神のもう一つの憩いの場
アドリカを守るため力を使い果たした女神ガイアは、力を蓄えるため、眠る必要があった。
ガイアが選んだ場所は、竜王アドキーナが守る、幻影の大地だった。
その中でも特別だった幻影の森。
ガイアは森の中心に巨大な木を生やし、その中で眠りについた。
神の木に守られながら、ガイアは力を蓄えた。
女神は神の木、ラピアで眠るといつも同じ夢を見た。
この大地が再び鮮やかな緑に溢れ、離れ離れの兄弟と一緒にまたその大地に立つ夢を。
だが、今回は少し様子がおかしかった。目覚める周期も少しずつ遅くなっていた…