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霧に包まれた神秘の森
イーストランドの静かな一角には、深い霧に包まれた森が拡がっていた。
人々はまるで森そのものが霧に飲み込まれているかのような、
神秘的で不可思議な光景に惹きつけられた。
しかし足を踏み入れたとて、何も見つけることもできないまま、
同じ場所を彷徨い続ける呪いの森だ。
やがてその森は「ミストウッド」と呼ばれ、畏敬と警戒の対象となった。
そんなミストウッドの奥深くには、
森を愛するとある者たちが暮らす村があった。
住民たちは、自らを
「自然を愛し、穏やかな日々を楽しむごく普通の存在」だと思っていた。
しかし、その姿は外の者たちにとって、
決して普通の存在とは言えないものだった。
彼らは動物の耳を持つ風変わりな種族「カーリー族」だ。
カーリー族の故郷
カーリー族は、自分たち一族の名を冠した村を深く愛し、大切にしていた。
彼らは常日頃から、外部の脅威から村を守るために決して警戒を怠らなかったが、
あの災厄だけは、彼らだけではどうすることもできなかった。
ミストウッドを覆い隠していた霧が晴れ、黒い闇が訪れると、
森は次第に彼らを苦しめる存在へと変貌する。
生きることを選択したカーリー族は、近隣の領主に助けを求めたが、
やむを得ず故郷を捨て、この地を去ることにした。
こうして彼らが去った後、ミストウッドは光を失い荒廃していったが、
唯一、なおも輝きを失わない場所が残されていた。
後に伝えられた噂では、カーリー族の大半が命を落としたという。
それは、彼らを率いるべき指導者の選択が招いた悲劇だったようだ。
汚染を免れたアヴァロン郊外
それはいつのことかもわからない遥か昔――。
イーストランドのアヴァロンは、
緑豊かな草木が生い茂る自然に恵まれた土地だった。
しかし、デイモス教団の狂信者たちの勢力が拡大するにつれ、
多くの命が失われ、彼らが魔界から連れて来た魔獣によって、
大地は次第に汚染されていった。
やがて、バイスが姿を消し平和が訪れると、
イーストランドの人々は、再び大地が緑に満たされる未来を願い、
アヴァロンの再建計画を進めていた。
その最中、アヴァロンの郊外で狂信者たちが飼育していた
魔獣の「牧場」が発見される。
驚くべきことに、その牧場周辺には汚染が拡がっておらず、
青々とした草木が生い茂っていた。
魔獣たちの反乱
狂信者たちが姿を消すまで、牧場にはさまざまな魔獣が暮らしていた。
しかし現在では、食べては眠り、
無気力に時間を過ごすわずかな個体のみ残されている。
バイスが消えた隙をついて、牧場に残った魔獣たちは周辺を縄張りとして、
再建のために訪れた人間たちをすべて追い払っていた。
そんなある日、デスサイズを手にした一人の少女が現れ、
魔獣たちを軽々とねじ伏せると、
自らが牧場の主となり管理すると宣言した。
こうして牧場は少女の思い通りに動き出したように見えたが、それも束の間…。
自分たちの縄張りを諦めきれない魔獣たちは、幾度となく反乱を起こした。
何度、力でねじ伏せようとも、平穏が訪れることはなかった。
子どもにしか見えない光の渦
ミストウッド一帯は異質な光に覆われていた。
まるで人々を拒絶するかのように、その光は行く手を遮っていた。
中心部ではより強く、さまざまな色を帯びたその光は
渦となって重なり合い、妖しく揺らめいていた。
しかし、カーリー族は気付いていなかった。
なぜならその光は村の指導者と、子ども達にしか見えなかったから。
だがある日、全てのカーリー族の目にその光が見えるようになった。
それが終わりの始まり。
デイモス教団の狂信者たちが侵入したのはそのすぐ後だった。
指導者の選択
迫りくる脅威を前に、
村の指導者は決断を下さなければならなかった。
吉と出るか凶と出るか…そんなことは誰にも分からない。
そして彼の選択は、「カーリー」の時間を永遠に止めてしまうことになる。
荒れ狂う光の渦はすべてを飲み込み、村を静寂の中へと閉ざした。
時が流れ、生き残った子どもたちは故郷へ帰りたがった。
だが、子どもたちはただ、揺らめく光の渦を見つめることしかできなかった。
あの光の先へ進む術は、どこにも記されていなかった。