ボスモンスター

  • 夢魔の領域「ローゼンガルテン」の支配者
    目を覚ました時から、アスモデアには支配者としての力が備わっていた。
    全身から溢れる魅惑によって、誰であろうと支配下に置くことのできる凶悪な力。
    しかし、いつからかその力はアスモデアの手から離れていた。


    高位魔族達がお互いの領域を奪うために争い始め、
    やがてはローゼンガルテンもその戦いに巻き込まれることとなった。
    当然アスモデアもその力を揮い、ローゼンガルテンを守るために戦っていたが、
    ある時から大事な「人形」を失くしたという噂と共に姿を消してしまった。

    次にアスモデアが戦場に姿を現した時、
    その隣には、かつて神とも呼ばれていた「歪んだ者」が立っていた。
    アスモデアはその存在の力を使い、ローゼンガルテンに侵入した者達を殲滅していった。


    やがて、ローゼンガルテンに人間界と繋がる扉が生まれた。
    その扉の隙間から見える地はローゼンガルテンと同じように
    鮮やかな赤色の地だった。
    アスモデアは、失くした「人形」を見つけるため、その扉に手をかけることにした。
  • アスモデアが育てた忠実な魔獣
    ローゼンガルテンで育つ薔薇は相手を誘惑する強力な香りを放つ。
    そのため、多くの愚かな魔族が手に入れようと侵入してきた。
    アスモデアも気が向いた時に粛清していたが、下等な存在を相手することに嫌気がさし始めていた。
    そして、いつしか庭園には巨大な魔獣が徘徊するようになっていた。

    アスモデアはこの美しい角を持つ魔獣に「アインホルン」という名前を付けた。
    魔獣達は許可なく庭園に侵入した者を角で貫き、そのまま飲み込んだ。

    ローゼンガルテンの夢魔達は、アインホルンの口から人間や魔族のにおいを感じていた。
    かつてアスモデアに粛清された者達と同じにおいが……。
    しかし、それを口にする者はいなかった。次に魔獣に飲み込まれるのは、自分かもしれないのだから…
  • 主を愛することのないサキュバス
    すべてのサキュバス…いや、すべての夢魔がアスモデアを盲目的に愛している。
    誰もが敬愛を、あるいは信愛を、情愛を抱いたが、彼女だけは彼に従いながらも、
    愛を感じることはなかった。彼女はただ1人の男にのみ、すべての愛を捧げていた。

    しかし、その愛する男は、とある冒険者の手によって消滅させられたことを知り
    彼女は悲しみに暮れた。自暴自棄になり、アスモデアに反抗するようにすらなった。

    アスモデアはそんな彼女を面白がり、彼女に呪いをかけた。
    誇りだった美しい脚や翼は、金属で作った蜘蛛のような姿になり、
    顔の一部すら歪んだが、リリスは愛する男と似た姿になれたと喜んだ。

    そんな中、とある力の持ち主の存在を感知した。
    忘れられるはずもない、間違えるはずもない……愛する男を消滅させた力。
    彼女はローゼンガルテンが人間界と繋がった時に、直ぐにその扉をくぐり抜けた。
    愛する男の仇を討つ。その感情だけが彼女の心を支配していた。
    そうしたところで、彼が戻って来るはずもないと知りながらも、
    そうでもしなければ正気など保っていられないのだから。