Part.1
愛する地を守りたかった人々
そこに住む人々は、先祖代々暮らしてきたこの地を愛していた。
この先も、この愛する地で暮らしが続いていくのだと、そう思っていた。
――デイモス教団による「暗黒戦争」が始まるまでは。
戦争の被害に遭い、安住の地を求める人々が押し寄せ
その人の流れを追うように、デイモス教団の魔の手が襲い掛かったのだ。
人々に愛された地は、恐怖と怨嗟と共に、赤く染められた。
生き残った者達は、力を求めた。
生きるために、何より、かつての愛する地を取り戻すために。
やがて、彼らは強大な勢力となり、その本拠地となる都市を建設した。
かつて赤く染まった地は、「マルス」と名前を変え、再び人々に愛されるようになった。
Part.2
人々が守りたかった都市
「マルス」の人々は愛する地を守るため、最善を尽くしたが、
周囲との対立や衝突、そのすべてを避けることはできなかった。
だがそれも、クラウス市長が就任してから、少しずつ改善され始めた。
彼の外交、そして内政は、「マルス」を“強い”都市へと発展させた。
「マルス」が永遠の平和を手にする…人々は、彼にそんな未来を見るようになっていた。
しかし、その未来は、クラウス市長失踪の知らせと共に夢に終わった。
人々が願った未来への道は途絶えた今、
この先の「マルス」に何が待ち受けているのか、知る者はいない。
Part.1
古代大陸「クレーター」の歴史
遥か昔、イーストランド大陸が「クレーター」と呼ばれていた時代。
大陸には消滅の危機が迫っていた。
幸いなことに、大地の女神ガイアの尽力により消滅は免れたが、
本来の美しい姿を取り戻すことはできなかった。
他の大陸が剣や魔法、科学を基に文明を発展させる中で、
クレーター大陸では、ただ生きるためだけの戦いが繰り広げられていた
その日勝利し続けた者だけが、生きることを許される…
だが、勝利した者であっても、明日、自分が生きていられる保障などない。
荒廃したこの地では、それが当然のルールとなっていた。
それでも、大陸の北西側にある一部の場所では、
比較的平穏が訪れており、そこに住まう者達はその地を愛していた。
しかし、その平穏も、「とある教団」によって終わりを迎えることとなる。
Part.2
呪われた大地
デイモス教団によってひき起こされた暗黒戦争は、
大陸に住まう生命、そして大陸そのものに災厄をもたらした。
暗黒戦争により、数多くの生命が失われ、
流れた血と、溢した恨みが大陸全土に染み渡った。
それはどれだけの時が経とうと消えない、“呪い”となった。
デイモス教団は、この荒廃した地に新たな名前を付けた。
以降、都市「マルス」へと続くこの地は、こう呼ばれることとなる。
教団の信仰する神の兄弟の名であり、「歪んだ者」の名――
――「フォボス」と。
Part.1
忘れ去られた村
伝説の格闘家「ファン」の故郷として知られている、とある村があった。
豊かとはいえないものの、生きるだけならば不便はなく、村には穏やかな時間が流れていた。
しかし、この地を欲する者達の襲撃により、村は壊滅的な被害を受けた。
多くの生命が失われ、大地が赤く染まると共にひび割れはじめ、
大きな亀裂が一瞬で村をその痕跡ごと飲み込んだ。
住人たちが消え、その存在を知る者もいなくなり、
“村”だった場所はいつしか、“呪われた地”として語られることとなった。
Part.2
バルドリックが留まる荒れ果てた空間
この荒廃した大地に、毎年決まった時期にやってくる酔狂な人物がいた。
マルスの人々は、彼がフォボスにやってくることを心から歓迎していたわけではなかった。
彼が現れるたびにフォボスは揺れ、彼を狙うモンスターが暴れ出すからだ。
だが、それでも彼の来訪を拒む者は誰一人としていなかった。
拒んだところで「誰も彼を止めることができない」からだ。
7大超人が1人、『凶王』バルドリックが相手では。
バルドリックが訪れるようになったころ、人々は古代の遺跡のような場所を発見した。
人々は、過去の痕跡が眠るそこを「ファンの揺り籠」と呼んだ。
時が流れ、バルドリックが再び「ファンの揺り籠」を訪れた時、
不思議な現象が起こった。これまではなかったはずの赤い建造物が現れ、
見たことのない悪魔達が徘徊するようになったのだ。
そして、それに呼応するように、
マルスの市長、クラウスが行方不明になったという噂が流れだした……。
Part.1
深淵に住まう者
深淵――それは、暗く深い闇の底。
もしもそこに住まう者がいるのであれば、それは間違いなく
“怪物”と呼ぶべき存在なのだろう。
しかし、その“怪物”は、何よりも美しさを至上とする者達だった。
魔界における深淵と呼ばれる場所に住むその悪魔にとって、
美とは自身の存在そのものだった。
自らの優雅さを、高貴さを、そして美貌に誇りを持っていた。
だからこそ、他の醜く汚く下劣な悪魔と比較されることを嫌った。
他の悪魔達もまた彼らと比較されることを嫌った。
純粋な力を至上としないその在り方を、軟弱だとなじった。
美を至上とする悪魔は、当然その言葉を気に留めるようなことはなかった。
醜い者の言葉など聞く価値もない。そして何より――
純粋な力においても、他の悪魔に劣ってなどいなかったのだから。
Part.2
赤い薔薇の花言葉
夢魔の領域の中心には、美が溢れる館があるらしい。
夢魔達はその主の姿を一目見るために人間界で狩ってきた魂を捧げた。
だが、それでもその主「アスモデア」が姿を現すことはなかった。
しかし、ついにその姿を見ることに成功した者が現れた。
とあるサキュバスが薔薇を植えた時、アスモデアがその姿を見せたのだ。
そして、その刹那の間に、すべての薔薇が美しく花開いたのである。
彼の美しさを疑っていた者達も、現れた彼の姿に見惚れ、
永遠の愛と服従を誓った。いつしか夢魔達が捧げた薔薇で
館の周りは覆われ、美しい庭園へと変わっていった。
夢魔達はここを薔薇の庭園――「ローゼンガルテン」と呼んだ。
その「ローゼンガルテン」に、突如異変が起こった。
薔薇は枯れては咲きを繰り返し…人間界へと続く、次元の扉が開かれたのだ。