ボスモンスター

  • 歓迎されなかった少女の呪いの道具、真実の炎
    遥か昔、ひとりの少女がいた。とある世界が創造されると、彼女はそこを愛し、留まることを望んだ。
    だが、その少女と似た力を持つ存在は、それを拒んだ。
    どの勢力にも身を置かない少女が見せた「真実」は、彼らにとって恐怖そのものだったからだ。
    「古代神」と「捻じれた者」という名で戦っていた者達は、
    魔王ビーストの登場により世界を離れることとなったとき、
    「真実の力」を持つこの少女を始末する簡単な方法を見つけた。
    開いた時空間の狭間に少女を投げ込んでしまったのだ。

    少女は力を持つ者達が「真実」から逃げることに怒りを覚え、自分の力の一部を具現化した。
    力を認められていない者が使うと、真実を得る代わりに全てを忘れる忘却の罰が与えられる、
    呪いの遺物「真実の炎」。
    ハウル王国ではこの遺物を大変貴重なものとして、ジスク領地で厳重に保管していた。

    厳重に保管された故なのか、いつからか「真実の炎」が使われることはなくなった。
    そして、人々の記憶からも消えようとしていた。まるで誰かがそう仕向けているかのように。
    炎の勢いも徐々に弱々しいものになり、消えていくかのようにも見えた。

    そんなある日、少女を閉じ込めていた時空間が開いた。
    少女は愛する地に戻って来ることができたのだ。
    しかし、そんな彼女を狙う怪しい力がすぐ近くまで迫っていた。
    彼女は急いで自分の炎の中に体を隠した。

    だが、炎は安全ではなかった。
    既に長い時を穢れた状態でいた炎は、自分を生み出した主も忘れ、一緒に飲み込んでしまったのだ。
    こうして少女は、創造と再生の意思を持つ力と混ざり合い、真実の力ではなく、
    忘却の力を扱う存在として湖を彷徨うことになった。
  • 彼の存在意義、それは主を邪魔する存在を飲み込むこと
    いつの頃からだろうか。虚無の星の中に巨大な蛇の姿をした闇が住み着いた。
    誰かがそこを訪れるたび、彼は対処した。
    彼は闇そのものではなく、主である「蛇」の意思に従って動く、忠実な影であった。


    影は普段は捻じれた時空間の隙間で眠り、
    誰かの気配を感じると、主の意思に従い権能をふるった。

    誰もここへ足を運ばないように。
    誰もここに気づかないように。

    しかし、転機が訪れた。主を阻止する者が現れたのだ。
    主は姿を消し、虚無の星には影だけが残された。

    影は本能で理解していた。この者の存在を消さなければ、主はここに戻ってこないと。


    影は決意した。主を邪魔するこの存在を飲み込んでしまおうと。
    それが、自らのするべきことだと理解したのだ。