LaTale

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  • Part1
  • 峡谷に起こる竜巻
  • ゴツゴツとした岩肌のこの峡谷も、
    かつては多くの命が生まれ、やがて眠りにつく、
    そんなごく普通のありふれた場所だった。
    “捩れた者”、そして……『神を喰らう存在』が現れるまでは。

    大陸が空へと浮上した影響により、大規模な崩落が発生したのだ。
    風を起こし、岩を持ち上げ、再び落ちてこないようにしっかりと固定する。
    神が消えた世界に残った生命のために、懸命に働いたのは精霊達だった。

    そんなある日、峡谷の中心部に大きな竜巻が発生した。
    一時的なものと思われていたその竜巻が収まることはなく、
    今も狂風を巻き起こし続けている。
  • Part2
  • 竜巻から忍び寄る不幸
  • 峡谷の竜巻は、神秘の自然現象として人々に認識されていた。
    幾度となく人々は峡谷を調査するも、その原因を見つけることはできず、
    風の精霊達が人々の生命を救った際のオーラが集まって生まれたものだという
    伝承を信じるほかなかった。

    風の精霊王「シルフィード」は、峡谷の竜巻を静めようと試みるも、
    それは容易なことではないと気づかされた。
    なぜなら、峡谷に起こる竜巻は純粋な風のオーラによるものではなく、
    世界を包む特別な魔力同士が衝突したことにより生まれたものだったからだ。

    さらに、プレイオスを狙う外なる脅威を防ぐことを優先していたこともあり、
    竜巻を静めることに使う余力がなかったのもその要因だった。

    この竜巻は絶えず峡谷に吹き荒れているも、
    なぜか峡谷を始めとしたプレイオスの西部に
    直接的な被害を与えることはなかった。

    シルフィードは、竜巻の脅威は低いと判断し、
    いつか新たな神に出会えた時にでも竜巻を静める方法を聞けばよいと考え、
    今はただ静観することにしたのだった。

  • Part1
  • 不思議なきのこが生息する沼地
  • ヴァーユナ峡谷にはプレイオスでは見かけない珍しい「きのこ」がある。
    このきのこが生えている道を進んでいくと、
    巨大な「きのこ」が生えた広い沼地へと辿り着く。
    その「きのこ」は大木のような見た目をしていることから、
    人々はその場所を「きのこの木の沼地」と呼んでいた。

    竜巻の収まらない峡谷の奥にある、
    奇妙な「きのこ」が生えているその沼地には、
    周囲を徘徊する怪しげな存在がいるという噂がある。
    禍々しいオーラに満ちたその場所を恐れる者も多いが、
    なぜか訪れる者は後を絶たない。

    万能薬となるこのきのこを見つけて一攫千金を狙う者達が存在するのだ。
  • Part2
  • 欲望の行きつく先
  • 「きのこの木の沼地では、“欲張ってはいけない”」
    きのこの木の沼地に向かう者達の間には、そんな暗黙のルールがある。
    風の精霊王シルフィードでさえ、その言葉を否定しないという。

    かつて魔族の襲撃により、峡谷に住む多くの生命が失われたことがあった。
    魔族達は「何か」を求め、その「何か」を見つけた後も、
    全てを欲して彷徨い続けた。
    峡谷の生命達は、力を合わせて魔族を沼地へと落とし封印した。

    どれだけ善良な者であろうとも、欲に駆られて沼地を訪れるならば、
    いずれその身は沼地へと沈むことになる。
    求めていたものを得たならば、それ以上を欲するべからず。
    それはまるで警告であるかのようであった。

    しかし、そんな警告があるにもかかわらず、
    この沼地で度々命を落とす者達の話が後を絶たないのだった。

  • Part1
  • 愛するもののための空間
  • ある時、何もない空間を見つけた彼女は、
    その場所を様々なもので埋め尽くすことを楽しみとしていた。
    だが、彼女のその望みが叶うことはなかった。
    黄昏の時間が訪れたことで、世界が一瞬にして崩壊してしまったからだ。

    『▒ ▒ ▒』

    彼女は“捩れた者”となり、生命を裏切ったという汚名を着せられ、
    やがてそう呼ばれるようになる。
    大切にしていた空間が魔界と繋がってしまったことで、
    彼女はひとつの選択を迫られた。
    ”汚名を受けいれここに残るか、それとも全てを諦めこの場所を離れるか”

    魔界に住まう者がその空間を訪れた時、
    既に彼女の姿はなく、その目にしたのはとある“扉”の存在だった。
    いったいどこに繋がっているのか…それは誰にも知ることはできない。
  • Part2
  • 封印の地
  • 何もない空間が魔界へと繋がり、元の主の願いに反することに使われ始めた。
    彼女が愛した世界の一部を引き込み、それを拘束し始めたのだ。
    いつからかこの場所には、彼女のかつての名前が付けられることになる。

    「リシテアの扉」

    この扉によって空間は分かたれ、
    そこには、魔族達によって様々なものが持ち込まれた。
    物や生命体、精霊や神に近い存在もあった。
    生ある者は簡単に抜け出すことができず、
    長い時間、ここに封じ込められたまま放置されることになる。

    そこは生きたまま出てくることはできず、
    死後は怪物へと変貌する特異な空間となっていた。
    そして、いつからか魔族でさえも避けるような場所となった。

    やがて、流刑地のような場所となり果てたリシテアの扉は
    新たな場所へと繋がる。
    そこは、奇しくもリシテアの愛したプレイオスの暖かな風が流れる
    「ヴァーユナ」の地だった。