古代のセイレーン
古代プレイオス南部の海岸は常に強風が吹き荒れ、高波が渦巻いていた。
海を渡る旅人達が神に安全を願う祈りを捧げると、
神はその願いを叶えるべく、旅人達の下へセイレーンを送り出していた。
リラの美しいメロディーに合わせてセイレーンの清らかな歌声が響き渡ると、
荒れた海がいつの間にか静まってゆくのだった。
旅人達が安全に航海を始める姿を見守りながら、
セイレーン達はいつまでもこの美しい海が維持されることを祈っていた。
歌と演奏が苦手で、いつも後ろの方で演奏していたセイレーン「アリア」は、
日々練習を重ねても上達しないことを嘆くばかりの憂鬱な日々を過ごしていた。
だが、それでも彼女が諦めることはなかった。
いつかは一番前で素敵な演奏と歌声を披露することを夢見て。
しかし、ある日彼女が目覚めた時にその瞳に映ったのは、
アリアが知っているプレイオス西部の美しい海岸ではなかった。
そこは、悠久の時が流れてしまったジエンディア大陸のコーラルシティだったのだ。
アリアが消えた古代のセイレーンだと知った歴史学者エレナは、
過去にプレイオス大陸で起きた出来事を伝える。
アリアは一人残された事実に悲しみながらも、
これからどうすればよいかをエレナと共に悩み始める。
そんな中、偶然コーラルシティを訪れた冒険者と運命的な出会いをするのだった。